What shall I do?

前回書ききれなかった事というか、補足みたいなものです。
なので読んでおられない方は前回のエントリも目を通して頂けると幸いです。

User Interface Design - Digital-Penguin workbench
ユーザインタフェースとは何でしょうか?

文字通り、人とアプリケーション、人とシステム、人とサービスを繋ぐ「接点」です。



では、良いユーザインタフェースとは?


前回、良いUIの条件とは「快適である」ことだ、という話をしました。
では、どう考えていけば快適なUIに近づいていくのか。


方法のひとつとしては、逆に何がどうなっていたらダメなのか、を追求して排除して行く、というやり方ですよね。
ユーザは何に対して不快感を感じるか」「どういうときにストレスを感じるか」を突き詰める。当たり前だけど、これを繰り返すのが一番シンプルです。


なにをすればいいの?


ユーザにストレスを与えるインタフェースの一つ目のパターンは「わからない」です。
アプリを起動するのは、当然目的があるわけですが、起動した後に「何をすればいいのか分からない」または「なにが起きているのか分からない」のは良いインタフェースとは言えません。


操作できそうなボタン等が見あたらない。逆にボタンがたくさんあるけどどれを押せばやりたいことができるのか分からない。起動したけどタイトル画面のまま動かない。


絶対に必要なアプリでなければ、この時点で評価が決まってしまいます。



なんでこうなるの?


万人にとって思い通りに動くアプリを作るのは困難でしょう。でも、やはりある程度期待値に沿って動いて欲しいものです。


期待値と言うのはWebの文章にアンダーラインが有れば関連項目へのハイパーリンクになっている"だろう"、ファイルのアイコンはダブルクリックすれば関連付いたアプリで開いてくれる"はず"、という「だいたいそうなるだろう」というコンセンサスです。


もっと単純なところでは「ボタンのように見えるのに押す事が出来ない」のはやっぱり嫌ですよね。


スマートフォンではまだ確定していない部分も多いので、これからスタンダードになる(みんなが期待する)操作も増えて来るでしょうね。Twitterクライアントの「TLを引っ張って更新」とかはそうなってきてるのかも。


あれをしたいだけなのに

最低限の目的を達するための操作が多すぎる、あるいはある程度何かをして、一度もとの場所に戻ろうとしてもどう戻れば良いのか分からない、という状況。

最低限のことをやるための操作回数は出来る限り少なく、そして出来るだけ迷わないように誘導。「とりあえずビール」って注文するだけのために店員を3度も呼ぶはめになったりとか嫌でしょう。


例えば撮影機能がメインのカメラアプリなら、起動直後は常に「撮影可能な画面」。起動して、最低限「シャッターボタン」ワンタップで撮影が出来る事が重要です。一方で、加工処理がメインのカメラアプリならまた違ったスタート、違った手順が必要になるでしょう。


とはいえ全ての操作を最初の画面から、というのでは結局「ごちゃごちゃして何をしていいか分からない」ということになってしまいます。常時使う機能はメインの画面からすぐアクセス出来るように(またはメイン画面上で直接操作出来るように)、あまり変更しない設定や必ずしも必要でない設定などは少し深い階層の画面にまとめる、といったシンプルさを保つ工夫も場合によっては必要かも知れません。



先日紹介したOneCamの場合、設定画面自体は撮影画面上にそのまま表示することで「状況に応じて良く変更する項目」にすぐアクセス出来るようになっています。



一方で、あまり撮影毎に頻繁に変更しないであろう項目はひとつ深い階層(上の画面の「設定」をタップすると表示される)にまとめられています。

実際には別の理由も有るかも知れませんが、こうすることで上の画面は項目が多すぎる状態にならず、必要に応じてアクセス出来るようになります。

見た目はやっぱり大事


ボタンの配置も大きさも不統一だとか、デザインの一貫性がまるで無いとか、そもそもごちゃごちゃしていて見難いとか、まぁだいたいげんなりして使う気が無くなりますよね。
iPhoneアプリは開発段階である程度その辺の整理整形がし易いので、このパターンは多くはないと思うのですが。


ちょっとしたズレでも人間の目は意外に敏感で、直感的に気持ち悪いと感じてしまうようです。
OK/Cancelみたいにひとつを選ばせるボタン群なら、ある程度近接させて位置合わせをする(上揃え、左揃え)、可能な限り大きさも統一する。3つ以上ボタンが有るなら等間隔に。もちろん間隔を拡げすぎて、お互いに関連するボタンである事が認識出来ないなんてのは論外です。

これは極端なモックアップですが、「ひとめみて自然な並び方と感じるかどうか」って結構大事ですよ。



もちろんボタンだけでなく、文字や行間が詰まりすぎているとか、色のバランスが悪いとか、そんなのはもう言うまでもないですよね。


大事な操作にはバランスを


これは若干機能的な作りの話になりますが、警告や確認のポップアップについて。

重要な変更の確定だったり、あるいは契約を確定するような操作の場合、必ず最終的な確認や警告が必要です。
例えば長々と入力した文章が、たった一回のミスタップやシェイクでごっそり消えてしまったら?


人間は操作ミスをする、という前提で作らなければ、信用されなくなってしまいます。

一方で、毎回するほどでもない大したことのない確認をしつこくするのもユーザの不快感を煽ります。
不快なだけならまだしも、そういうウンザリする確認の繰り返しは、本当に重要な警告の見落としにも繋がります。


というわけで改めて予告というか


ユーザインタフェースとは、前回も書いた通りユーザとアプリ(やその先にあるサービス)との接点です。今回書いたような事はユーザには本来意識させるべきでないことで、自然に受け入れてもらい、快適に使ってもらう事がUIデザインの本質ではあるのでしょう。そういう意味ではパソコンなんてまだまだユーザの努力とか理解力とか善意に頼り過ぎですよねiOSバイスはそこを解決するための最初の解かも知れません。


とはいえ、僕自身はUIって突き詰めるととても面白いものだと感じています。だから今後、おこがましいことかもしれませんがそういう視点からアプリの再評価を試みてみようかな、と。連載という体裁をとる気もなく、他のエントリの合間にちょっとずつそんな感じの話題もたまに、という感じになると思いますが。




ちなみに今回モックアップ画面を作成したアプリはこれです。

※価格は情報取得時点のものです。ご購入前にその時点の価格を確認願います。

Interface 2.0.6(¥850)App
カテゴリ: 仕事効率化, ビジネス
販売元: Less Code Limited(サイズ: 4.1 MB)