標準カメラアプリの脅威


iOS5が発表されましたね。
マルチタスクやフォルダが発表されたiOS4に比べると見た目の変化は大きくないものの、各機能の不満点を解消して進化させる、強力なメジャーバージョンアップだと思います。
プッシュ通知にしてもSafariタブブラウザにしても、長らく望まれた進化では無いでしょうか。本当の意味でのUIの進化かも知れません。
 

標準カメラアプリも進化します。


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高速起動をウリにしたカメラアプリは全滅するでしょう。どんなに起動が早かろうが、ロック画面から直接呼び出したほうが早いに決まっています。

Photoshop Mobileに代表される写真補正アプリもうかうかしてはいられません。いまのところ標準でサポートされるのは傾き・赤目・切り取りだけですが、露出・彩度の調節やトイカメラ風フィルタがいつ実装されるかわかったものではありませんから。


標準アプリの進化に、競合する機能の人気アプリがどうなってしまうのか。やっぱり気になるのはそこのところですよね。


最速の撮影アプリ

何よりも強力というか、アプリ開発者にとって凶悪なのは「ロック画面からの起動」ですよね。今までも最速クラスのカメラアプリである事に違いはありませんでしたが、この特権により圧倒的なアドバンテージを得ることになります。
画面がロックされていようがシャッターチャンスにさっと構えてワンタップで起動、でもう撮影可能とか強力過ぎるでしょ。


これまで標準アプリにしても、あるいはCamera+やOneCamでも実際に起動から撮影可能になるまでは2〜3秒かかりました(3GSの場合)。
さらに暫く起動してなくて、他のアプリでメモリを多く消費してるとき等は6〜8秒くらいかかってしまいます。


もしこの数字が殆ど変わらないとしても、少なくともロックを解除するという煩わしいアクションが無くなり、さらにカメラアプリのアイコンが無い画面から移動して起動する操作も一切不要。サードパーティのアプリが単純に高速起動を売りにしても勝てるはずがありません。
しかも、最近のの高機能撮影アプリにはスタンダードとなった露出ロックが採用されています。


これで十分、というユーザは相当多いのではないですかね。たとえばCamera+にはもっと充実した編集機能もあるし、優れた美しいUIや充実した撮影サポート機能もあります。
でも、あえて有料アプリとしてお金を払ってまで欲しいと思ってもらえるのかどうか、今後は難しくなるかも知れません。

※価格は情報取得時点のものです。ご購入前にその時点の価格を確認願います。

OneCam(マナー・連写) 〜フリックで簡単シェア〜 4.5.0(¥100)App
カテゴリ: 写真/ビデオ
販売元: Walker Software - masahiro seto(サイズ: 3.7 MB)

最低限、でも手強いオプション


編集機能として切り抜きや回転、赤目補正が少なくとも実装されるようです。更に、iOSTwitter投稿をフルサポート。
機能的にまだ十分勝っていても、標準アプリが最低限の機能を備えてしまえば、それだけで「あえて有料アプリ」に手を出さない人は増えてきます。


ただ、今のところ外部投稿の公式サポートはTwitterだけなので、別のサービスへの強力な連携を誇るFastEverSnapや、多種サービスと連動するPictShareのようなアプリはまだ当面生き残りますね。でも、Twitter投稿機能がそうであるように、いつ公式サポートされてしまうかはわかりませんが。


SuperPopCamのような撮る楽しみを演出したトイカメラは、今回はあまり影響なさそう。でもモノクロやLomoなど、単一の効果を売りにしているようなアプリは類似したフィルタが実装されたらとたんに厳しくなるはず。HDRアプリとか、今はどうなんでしょうね。

※価格は情報取得時点のものです。ご購入前にその時点の価格を確認願います。

SuperPopCam - 入門トイカメラ 1.31(¥85)App
カテゴリ: 写真/ビデオ, エンターテインメント
販売元: Art & Mobile(サイズ: 4.9 MB)

まだ見ぬ新機能への挑戦

いずれにせよ大事なのは、ユーザニーズに応えたアプリをどのように作って、そしてアピールするのか。標準がいかにバージョンアップしたとはいえ、まだまだ多くのアプリは(高速起動以外は)勝てる要素があるはず。でも、そこに落としてもらう(特に有料の場合はお金を払ってもらう)だけの価値を感じてもらえなければ機会を喪失してしまう


でもまぁ、標準のレベルが上がれば開発者もまた、そのハードルを越えようとするに違いありません。開発者の方々は既に実装している機能に追いつかれた程度の脅威よりも、新しく用意された機能でどうアプリを進化させるかの方に関心が向いているでしょう。そうでなくとも日々、お互いのアプリ同士の差別化で切磋琢磨は続けているのですから。


殺される?
いやいや、彼らもまた、進化へのステップを手に入れたのです。