コーンポタージュの缶

いい加減誰か、「粒が最後までスムーズに食べられるコーンポタージュ缶」を開発しないのだろうか。
 落ちてこないのが悔しくて何度も缶を振るのだけれど、ようやく一粒だけ落ちてきたとき、あれを噛み締めているときの虚しさといったら筆舌に尽くし難い。

思うに、完全分離型のプルトップが危ないだか何だかの理由で世の中から消え、本体と一体型になったときでさえ、フチの部分の丁度コーン一粒分の幅は残ったわけで、あれはあれなりに理由があるのだろう。
 いや、あると思わなければやってられない。
 そう、スチール缶はあれで既に完成された形状であって、完全なる様式美なのではないか。
 そう考えると久多良木社長の美学に通じるものがあると言えなくもない。
 合理性や客の不便など差し置いてでも、缶飲料としての美学を貫くと。それはそれで潔いものを感じる。

が、そんなことはどうでもいいので、どこのメーカでもいいから開発して欲しい。
 美学を曲げて作ったメーカが既にあるなら教えて欲しい。
 言っておくが缶でなければ駄目だ。
 パックのような軟弱な容れ物から、液体とともに垂れ流されてくる粒などに勝利したところで如何ほどの意味があろう。
缶の中の粒を食べきるという達成感こそが必要なのだ。

本当に開発したら、イグノーベル賞くらいは取れるかもしれない。
どうですか?