Evernoteは使いこなすな

ありがちな釣りタイトルにつられて開いて下さった皆様こんにちわ。いかがお過ごしでしょうか。
Evernoteを華麗に使いこなしたいけどなかなか上手く行かない、という貴方。今回は、そんな悩める貴方のためのエントリです。

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カテゴリ: 仕事効率化, ユーティリティ
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何故あなたはEvernoteを使いこなせないのか?


使いこなせない、使うイメージはあるのに思い通りに使えない。そんな貴方は恐らく今までに、オンラインに数多あるブログを覗いて、そこに書かれていることを試して来たはずです。中には目から鱗の「これこそ私が求めていたテクニック」に出会えた方もいたでしょう。

でも、実際試してみても上手くいかない。いくら真似しようが、そりゃもうびっくりするくらい続かない。

何故なんでしょうか?


例えば、「いずれ入ってみたいレストラン/カフェ」のデータベースを作るためにEvernoteを使う。やり方は通りがかりで気になった店があったら、看板なり店頭メニューなり外観なりをジオタグ付きの写真で残す。Fastever Snapあたりが向いてるんじゃないでしょうか。「気になる店」「ランチ候補」とかタグも用意しとく。

貴方もきっと実際初日は調子良く何枚か写真を撮って「俺のEvernoteライフ始まったな」って思うはずです。
 
でも、いつも行動する範囲程度では、入ってみたいけどまだ入ってない店なんて数は限られてるからすぐにネタ切れします。平日は決まったルートの通勤路だから、開拓するなら休日出かけたとき。たまにしかやらないから習慣化しない。いざという時思い出さない。
思ったようにデータベースとして成長してくれない。


さて。
バリバリログを貯めていく人と貴方。何がそんなに違うのでしょうか?

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カテゴリ: 仕事効率化, 写真/ビデオ
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使いこなせないカラク


多くの初心者向け書籍やブログで書かれているような、「なにも考えずにとにかく何でも保存してしまえ」「後でそれもログとして役に立つかも」というのは分かりやすくて明確な指針のように思えます。それを見た貴方は、「よし、自分も」と思うでしょう。
でも、挫折する人はその段階からうまくいかない。


なぜ挫折するかというと、もう既に心の中でフィルタリングをしようとしているからです。
無数の情報の中でわざわざ保存するくらいだから、何か意味のあるものを保存したい。無料ユーザーで容量の限界が小さければなおさら、無駄なものは放り込めない、と考えちゃう。ノイズで埋まる前に、保存の段階でフィルタをかけてしまいたい。
そんなことばかり考えて、「残すべき価値あるデータ」なんて高いハードルを勝手に拵えてしまうから、残すという行為が習慣化する前に続かなくなってしまう。


おそらく貴方は、無意識のうちに「目的」を探してるのだと思います。

否、Evernoteはツールなのだから、目的も無いのに使うほうがおかしいと思われるかも知れません。それは実際正しい考え方だと思います。でも、それはEvernoteの使い方がある程度理解出来ている場合の話。初心者向けの書籍やブログを読む人の多くは、「Evernoteというツールはどうやら便利らしい。だったら使ってみよう」というところからスタートしようとしているはずです。


先のレストランデータベースの例にしても、それをやるためのツールを探していて、その中でEvernoteを試すのであれば問題なかったのでしょう。それで失敗しても、それはその目的にEvernoteというツールが合わなかったと考えれば済む事。
でも、Evernoteを使ってみるという目的のために、習慣化しにくい縛りを設定してしまったのだとしたら、それは幾らなんでも悪手というもの。僕は「Evernoteが自分に必要かどうかはわからないけど、まず使ってみる」のは有りだと思います。でも、それならなぜ「目的」など用意してしまうのか?
特定の目的に絞って使うことが悪いと言っているのではありません。そのやり方が分からないうちから完成形の器だけ作ろうとしても上手くいかない、という話です。特に貴方の場合ですよ。


Evernoteの強みは様々な種類の情報/データの一元管理。メモだけでもなく、写真だけでもなく。それらを意識せず同列に扱えるから、「記録のためのクラウド」として絶大な人気を誇るのです。使用目的をひとつの事だけに絞って、それで記録するものが無い(と思い込んでいる)から習慣化出来ない、なんて実にナンセンスな話です。


だったらまずは、本当に使ってみたいなら、用途だの目的だの、そんなのはすべて排除して、自分の琴線に僅かでも触れたものは何でも保存してみるしかないですよね。
それが役に立つのか、フィルタすべきノイズなのかはやってみないと分かりません。無料アカウントだから容量少ないというなら、ギリギリまで突っ込んでから考えれば良いんです。
オリーブオイルをケチっては美味しい料理にならないのです。

使いこなす、ってどういうこと?


この記事では意図的に「使いこなす」「使いこなせない」って言葉を多用してきました。
そもそも「使いこなす」って何なんですかね。ひたすら貯める。あるいは応用としてのタスク管理に使う。上手な整理法をマスターする。いつでもどこでも、貴方に関する全てがそこにあるように。それが使いこなすって事でしょうか?


使い道、使い方、使うための環境。そして貴方自身の性格。誰かの教えてくれたメソッドが自分に向いているかどうかは、様々な要因に左右されます。
わかりやすく魅力的なメソッドを提示してくれるブログや本。そこに書かれたそれらは、その著者自身が体験や試行錯誤から最適化したものをシェアしてくれている、貴重な実例であり、素晴らしい知の集積です。でも、それを自分のものにするためには上っ面をなぞって「使いこなした気分に浸る」のではなく、アレンジして、アジャストして、自分のメソッドとして吸収していかないと、きっとどこかで無理が生じます。


Evernoteは貴方の記憶や情報の整理をサポートするためにデザインされた道具です。使いこなすとか小賢しいことを考えるのではなく、ただ使う。使ってみて、道具としての特性を理解して、自分の本来の目的に最適化する。ライフログであれタスク管理であれ、継続して使う事。それだけで貴方の世界は変わるんです。



そして、使いこなすのをやめてみる


なーんて、簡単に切り替えられたら良いんですけどね。その、ひたすら使って自分なりの使い方を見つけ出すってことができる人なら、多分こんな長いだけの記事も必要ないはずなんです。
だってぶっちゃけ、こんなのは性格でしょ。ドラスティックな意識改革なんて、この記事読んだくらいで出来るわけがない。

ということはきっと、今の貴方には向いてないんですよ。


だから、はっきり言いますね。
貴方はEvernoteを無理して使う必要はない。道具に振り回されるくらいなら、何も考えずにその画面を閉じましょう。


でもね。
ひとつアドバイスをするならば、貴方のそのアカウントと、スマートフォンに入れたEvernoteアプリはそのままにしておいて下さい。
ある日突然何かを記録したくなったときのために。
あなたが自然に「あ、こんなときこそEvernoteかも?」って直感したときのために。

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実りのない長文で時間を取らせた言い訳、或いはささやかな独白


さんざん貴方、貴方、と小馬鹿にしたような記述を続けてきましたが、実はこの妙に長い文章は、僕自身の自己分析の記録だったりします。だから恥を偲んで告白すれば、貴方、というのは僕自身です。
まぁこんなことをひとしきり考えて、「使いこなそうとする」のをやめたのが数ヶ月前。

今の僕にとって、Evernoteはとても便利で、気負わず気楽に自由に使えるツールです。整理をするでもなく、頑張ってログを貯めるでもなく。
恋人のように日々情熱を持って接するわけではないけれど、何となく適度な距離感の友達としてお付き合い出来るようになってきたのかな、と感じる今日この頃です。