その問題は新しくない

先日取り上げたチェーン日記の考察記事が出てた。

Web2.0時代の“脆弱性”――mixiチェーン日記はなぜ広まったか

だが、そこに潜んだ根深い問題も透けて見える。mixi日記やブログの普及で、ユーザーがネットでの簡単に発言し、情報を共有できるようになった一方、「チェーンメールは転送しない」という、“Web1.0時代”には当たり前だったネットリテラシーを身に付けていなかったり「ネタをネタと見抜けない」ネットユーザーが増えている、という現実だ。

本当にそうかな。リテラシと呼ぼうがネチケットと呼ぼうが、チェーンメールなんか昔から変わらずあるんじゃないの。そんなに「Web2.0時代」とやらになってから極端にネット人口が増えたなんてことは無いわけだし、チェーンメールに引っかかるタイプの人が急激に増えたとは思えない。「Web1.0時代」のユーザがそんなに洗練されていたかというと、そんなことは無いと思う。逆に言えば「初心者」は常に参入し続けているわけだ。
ただ、SNSはその構造上、そこにある情報(特にコミュニティの書き込みなどではなく「友人」の日記にそれがある場合)はある程度無批判に受け入れられやすいということだろう。情報の吟味をどこまで行うかは多くの場合、その情報源に信頼がおけるかどうかで判断される。これはWebに限った話ではない。最初の「怪情報」を少数の「リテラシを身に付けていない」ユーザが信じて、(おそらくは善意で)自分の日記に掲載した時点から「怪情報」ではなく、その周囲一定範囲のユーザに「信頼性のある情報」として受け入れられ、伝播が始まったのだろう。
 Web2.0であることを今回の問題に結びつけるなら、「初心者が増えた」とかそういうことではなくて、ノード(多くの場合ユーザ)同士の繋がりと情報の共有を軸にした多くのサービスが「信頼性が高いと錯覚させうる情報伝播経路」というものを生み出している、という点じゃないのかな。
 もっと言えば「チェーンメールを転送しちゃう人」はそれまで携帯やらPCメールでやってたのが、目立つ場所にも出てきた(そういう場が出来た)というだけのことのような気もするが。(無論メールなら転送まではしなかった、というユーザのハードルを下げさせてしまう「場」という側面はあるのだろうから単純な「移住」でもなかろうが)

なんてことは記事の中盤にもそれらしい発言があるのに、何故こんな微妙な結論に持っていくかなIT戦士。