門外漢が2006年の携帯を俯瞰してみる
今年は携帯分野が面白い、らしい。
とりあえずここ数年お互いの領土を奪い合いながらも、それなりに平穏に過ごしてきた既存キャリアにとっては大きな局面になるのは間違いない、らしい。
まずは4月に本放送の始まるワンセグ。
正直僕はまだ、これについてはあまり期待していない。当面サイマルキャストになるということだから、携帯独自のコンテンツで勝負をかけるというわけではないし*1、データ放送といっても携帯の小さい画面をさらに細切れにして関連リンクなど張ってもらったところで、まぁ特別大きな変革とも思えない*2。
個人的には、わざわざ外出先でリアルタイムに小さい画面に熱中する(しかもゲームと違って好きなときに中断して、好きなときに続きからというわけにもいかず)なんてのは携帯の楽しみ方としては野暮ったい気がしてならない。音楽だけのデジタルラジオくらいのほうが良さそう。
H.264が採用されていたりとか技術的な面での面白みがないわけではないが、マスコミが上手い事騒いで世間の興味を引くとかしない限り、スタートダッシュの瞬発力は期待できない。3G同様、機種交換の意欲を煽るほどのインパクトが感じられないのである。著作権だとかの話で揉めていると聞く本格的な録画機能が実現すれば面白くなってくるけど、まだ先の話だろう。
それよりもやはり業界が大きく動くのが10月以降の新規参入*3と、11月の番号ポータビリティ制(MNP)開始だろう。
当たり前のことだけどプレイヤーが増えれば各々の取り分は減るわけで、カバー率の低い運用開始当初はまだまだ敵ではないとはいえ、当然後発組のユーザ獲得においては既存キャリアが草刈り場になるわけだから、既存キャリアは彼らが力をつける前にせめて自分のところから奪い取られるパイを最小限にしなければならない。
そこにMNPが始まれば、まさしく囲い込みと引き抜きのバトルロイヤル状態に突入。
実際継続契約期間が長ければ長いほどどんどん安くなるようなサービスの導入も始まってるし、各種定額制も競うように登場してきている。当面は既存キャリア同士の国盗り合戦で生き残らねばならないのだから必死にもなるってことで、結果として安くサービスが充実すれば消費者にとってはありがたいことだ。
あとはニューカマーの手札や如何に、というところだが。
まぁ人の集まるところならどこでもパラソル拡げてBBルータ押し付けていた例の部隊が、来年春から携帯をばら撒きに出動するのは目に見えている。残る2社の戦略が見ものだろう。
他にも今月から始まるモバイルSuicaやら、ユーザの決済を携帯に取り込んでしまおうという動きも本格化してくるし*4、更に2007年以降を見据えれば固定網や公衆無線LANとの融合なんて話も出てくる。WiMAXが本格的に普及すれば、IP携帯電話も争いの輪に加わるだろう。
群雄割拠となるのか、一人勝ち企業が出てくるのか分からないが、まぁ傍から眺めつつ魅力的なサービスやガジェットの登場を待ちたいところである。
…なんて偉そうに書き綴っては見たものの、門外漢故に頓珍漢なことを書いていそうな気もする(いつものことだが)ので、反論コメント等歓迎。
ちなみに上の話題には直接関係ない*5けど、携帯に関連して面白いblogがあったので紹介しておきます。
どうしてSFは携帯電話を予想できなかったのか?(aesthetica sive criticaさん)