Web2.0とかいうものへの雑感

Tim O'Reillyの文章がCNETに掲載されてから一月以上遅れて、今更ながらWeb2.0に触れてみる。

とりあえずTim O'Reillyの言ってることを一通り読んでみて、なんとなく直感的にはそう間違ったことを言ってるわけじゃないのはわかる。
 少し技術屋的理想論に傾きすぎている嫌いはあるものの、「Web2.0」の何たるかとか、目指す地平のようなものは分かったつもりにはなれる。
 (たぶんつもりになっただけだ)

ただ、もともとあった事象や傾向に対してWeb2.0という名前を与えてしまったことによって、色々な意味で一人歩きをはじめてしまった感がどうも世間に漂っている。
 極端なことを言えば、「Web2.0的な」とか言っていれば(下手すると「2.0的な」だけでもいいかもしれない)何でも新しくて凄いもの、と思わせることが出来そうな雰囲気だ。
実際、O'Reillyも挙げているGoogleAmazonは、随分と前から「Web2.0的な」成功を収めてきていたわけで、いまさらそこにWeb2.0だのと名前をつけたり、もっともらしいミームマップに書き込んだりして発表する意味はあるのだろうか。
 確かにこれを機に、情報が分散フェーズに移行していく流れは加速するかもしれない。(実際ここ1,2年に出てきた「Web2.0的」サイトの成長は非常に目立つ)
 なぜなら名前を得た「新しくて成功しそうな」ビジネスには、投資家が金を出すからだ。
 逆に言えばこれまで投資家への説明に苦慮していた人たちが「うちの新ビジネスはWeb2.0的です」とか言えるようになった。本当にWeb2.0的なのかどうかは別にして。

新しい技術はギークな人々や企業の努力によって絶えず生み出され、市場に投入されている。
 データベースが人を集めて、それ自体が新しい価値を持つデータベースを生み出すような仕組みとか、ロングテールを取り込んでいくような傾向は今に始まったことじゃなくて、Webの世界にシームレスに組み込まれていったものだ。
 それをまるで「Web1.0は終了です。明日からWeb2.0に切り替わります」みたいな印象を与えかねない名称をつけてしまったのは、かえって迷惑なのではないかとすら思う。

こうして考えるとWeb2.0なんて所詮Buzzwordだ、と言われてしまうのも解かるような気がする。
 Web2.0的、と呼ばれているもの自体には可能性を感じるし、非常に楽しみでもあるんだけどねぇ。

このあたりの話はまたいずれ、折に触れてエントリしたいと思います。

「お前は何も解かっていない」とか「本当のところはこういうことなのだ」というご意見反論その他あれば歓迎いたします。
 たぶん本当に分かっていないので。